赤ワイン、アルコールと片頭痛

赤ワインはアルコール飲料の中で最も多く誘因として挙げられますが、毎回発作が起きると答える人は多くありません。片頭痛のある2,197人の調査では、35.6%がアルコールを挙げ、赤ワインで一貫して発作が起きた人は8.8%にとどまりました。対照研究のエビデンスは限られており、原因となる成分は不明です。

このページの内容
  1. 患者の報告
  2. 対照研究の結果
  3. ワインの機序が不明な理由
  4. 片頭痛か二日酔いの頭痛か
  5. ダイアリーで確かめる方法

患者の報告

  • 調査:片頭痛のあるオランダの患者2,197人を対象としたウェブ質問票では、35.6%がアルコールを誘因に挙げました。そのうち77.8%が赤ワインを挙げました(Onderwater 2019)。
  • クリニックのサンプル:37.8%(患者1,207人中)が、少なくとも時々はアルコールが誘因になると答えました(Kelman 2007)。
  • 過去の研究のレビュー:後ろ向き研究では、患者の約三分の一がアルコールを少なくとも時々の誘因として報告しましたが、頻繁な誘因としたのは10%のみでした。前向き研究では、その重要性はかなり限定されます(Panconesi 2008)。
  • スマートフォンのダイアリー:追跡した62人(3か月間)では、アルコールは他の頭痛ではなく片頭痛と関連しましたが(OR 2.5)、これは予防薬を使用していない人に限られました(Park 2016)。
  • 相反する結果:2020年のシステマティックレビューは、関連なしまたは逆の関連を示す研究もあり、結果は相反しているとしました(Hindiyeh 2020)。

片頭痛のある人は対照者より飲酒量が少ないと報告されています(Panconesi 2008)。飲酒をやめた人や飲んだことのない人の25%超が、アルコールが発作の誘因になるという考えを理由に挙げました(Onderwater 2019)。このため、飲酒者の調査から言えることには限界があります。

対照研究の結果

ある研究は赤ワインと希釈したウォッカを比較し、赤ワインと頭痛の間に有意な関連を認めました(Littlewood 1988、Peatfield 2003で報告)。Peatfieldはこの研究を盲検と記述していますが、後のレビューは盲検化が確かではないとしています(Panconesi 2008)。Peatfield自身の負荷試験は、確かな結論を出すには症例数と反応の一貫性が不十分であると結論づけました。経口負荷試験のレビューは、赤ワイン中のアミンに関する一つの研究を結論を出せるものと判断しましたが、その結果は陰性でした(Jansen 2003)。

American Migraine Foundationは、最も多く挙げられるのは赤ワインであるものの、他の飲み物も同じように誘因となりうると記しています。

ワインの機序が不明な理由

確立された機序はありません。ワインに含まれるチラミンは少なすぎるためチラミンだけではこの作用を説明できず、ヒスタミン遮断薬も頭痛の予防について説得力のある結果を示しませんでした(Peatfield 2003)。生体アミン、亜硫酸塩、フラボノイド系フェノール、血管拡張がいずれも仮説として議論されており、どの成分が重要かは不確かなままです(Panconesi 2008)。

片頭痛か二日酔いの頭痛か

ICHD-3は、遅発性アルコール誘発頭痛を片頭痛と区別しています。この頭痛は飲酒の5〜12時間後に起こり、72時間以内に消失し、両側性、拍動性、活動による悪化のうち少なくとも一つの特徴をもちます。

時間だけでは区別できないことがあります。オランダの調査では、約三分の一が3時間以内に、ほぼ90%が10時間以内に発症しました。時刻だけでなく症状も記録してください。

ダイアリーで確かめる方法

  1. 飲み物の種類、量、時刻を記録し、発作が始まった時刻も記録します。
  2. 状況を記録します。The Migraine Trustは、影響は量や、疲れ、ストレスなどの要因によって変わるとしています。
  3. 発作が起きなかった機会を数えます。赤ワインを飲んで発作がなかった夜は、調査では捉えられないデータです。
  4. 飲み物を比較します。赤ワインしか記録しなければ、ワインの影響かアルコールの影響かを区別できません。

あるレビューは、少数の患者に特定の飲み物への不耐性があっても、アルコールが主要な誘因であるとは言えず、禁酒を正当化するものでもないと論じました(Panconesi 2008)。一般的な方法については、疑わしい誘因を確かめる方法をご覧ください。

出典

  1. Onderwater GLJ et al. Alcoholic beverages as trigger factor and the effect on alcohol consumption behavior in patients with migraine. Eur J Neurol 2019;26(4):588-595
  2. Panconesi A. Alcohol and migraine: trigger factor, consumption, mechanisms. A review. J Headache Pain 2008 (abstract)
  3. Peatfield RC et al. Pharmacological analysis of red-wine-induced migrainous headaches. J Headache Pain 2003;4:18-23 (reports Littlewood et al., Lancet 1988)
  4. Jansen SC et al. Intolerance to dietary biogenic amines: a review. Ann Allergy Asthma Immunol 2003;91(3)
  5. Hindiyeh NA et al. The role of diet and nutrition in migraine triggers and treatment: a systematic literature review. Headache 2020;60(7):1300-1316
  6. Park JW et al. Analysis of trigger factors in episodic migraineurs using a smartphone headache diary applications. PLoS One 2016;11(2):e0149577
  7. Kelman L. The triggers or precipitants of the acute migraine attack. Cephalalgia 2007;27(5):394-402
  8. ICHD-3, 8.1.4.2 Delayed alcohol-induced headache
  9. American Migraine Foundation: Top 10 migraine triggers and how to deal with them
  10. The Migraine Trust: Migraine attack triggers

2026年11月2日にこれらの出典と照合しました。 このページの執筆・確認方法